0から学ぶNIPT・遺伝子検査とは?後悔しない妊娠出産のために~

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「よくわかるNIPT・遺伝子検査」のブログでは、NIPTや遺伝子検査に関するあらゆる悩みを解決に導くことをコンセプトにしています。

突然ですが、あなたは「NIPT検査を検討してから、実際に受けて、出産するまでは何の一つもトラブルなく終えられるもの」だと考えていませんか?

実はNIPT検査を検討される多くの方は、何かしらの疑問・不安点・問題点を抱え、何かしらの問題にぶつかります。

  • いつ受ければいいのか
  • 本当に自分にとってNIPTが必要なのか
  • NIPT以外にどんな検査があるのか
  • そもそもNIPTとは一体何なのか
  • NIPTはどんな仕組みで検査しているの
  • たくさんあるNIPTクリニックの中でどこを選べばいいのか
  • NIPTの費用はどれくらいかかるのか
  • NIPTはどれくらいで結果が出るのか
  • NIPTで陽性がでたらどうすればいいのか


こうして並べてみると「もしかしたら調べたり考えなくてはいけないことはたくさんあるのでは」と感じるのではないでしょうか。

「そんなこと言われても妊娠中の辛い時期にあれもこれも悩むのは辛い……」

そんなあなたに代わり当ブログ「よくわかるNIPT・遺伝子検査」がNIPT・遺伝子検査に関するあらゆる問題を解決します。
NIPT・遺伝子検査についてどこよりも詳しくまとめてありますので、安心して読み進めてください◎

本コンテンツはよくわかるNIPT・遺伝子検査編集部が独自の基準に基づき制作していますが、メーカー、クリニック等から送客手数料を受領しています。

この記事のライター: よくわかるNIPT・遺伝子検査編集部 佐藤 真由美

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1982年生まれ。一児の母。第2子が気になるものの、年齢的にどうしようか考え中。

「NIPTを受ける、受けない!?受けるならどこで受けたらいいの?」悩みに悩んだ自分の経験をふまえて、同じようなお悩みを抱えている女性たちにとって、少しでも参考になるような記事が書ければ…と、日々NIPTやNIPTクリニックについて調査・勉強を続けています。

こんな人に役立つ記事です

そもそもNIPTってなに?と感じている人
NIPTを受けようかどうしようか悩んでいる人
NIPTで失敗したくない人
とにかく不安を解消したい!色んな角度から心配事を潰していきたい!という人 

  

目次

「出生前診断」の読み方は?

「しゅっせいまえ しんだん」
「しゅっしょうまえ しんだん」

という、主に2つの読み方があります。

「出生前診断」は「出生前」と「診断」という言葉の組み合わせから成り立ち、一般的には「出生」は「しゅっしょう」と読まれますが、医学用語としては「しゅっせい」と読むこともあります。

医療分野では「しゅっせいまえしんだん」という読み方が、主に使用されています。

NIPT(出生前診断)とは

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NIPT(出生前診断)とは、
お母さんから採血した血液から、胎児のダウン症候群、18番染色体トリソミー(エドワーズ症候群)、13番染色体トリソミー(パトウ症候群)などの染色体異常を調べる遺伝子検査のことです。近年ではすべての染色体の数を検出できる技術が確立しただけでなく、部分的に欠損、重複しているかもわかるようになっています。

「遺伝子検査」自体は、主に3つの病気に対して行われています。

(1)ヒトに感染症を引き起こす病原体
(2)悪性腫瘍(がん組織)
(3)親から子に受け継がれる体質(薬に対する副作用など)や病気(遺伝性疾患)

NIPTは(3)に分類され、親から子に受け継がれる遺伝性疾患の遺伝子検査にあたります。

従来の出生前診断と比較しても、NIPT検査の精度はきわめて高く、採血のみで簡単に実施できるため、近年は出生前診断はNIPTが主流になってきていますが、実は国内のNIPTクリニックの検査精度やカウンセリングの質は玉石混合。正確な結果を得て、赤ちゃんにとって最善の決断をしたいなら、受検するクリニックをよく精査する必要があることは、まだあまり知られていません。

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ライター 佐藤

NIPT(出生前診断)のメリット

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赤ちゃんへのリスクがないこと

出生前診断の羊水検査では1/300、絨毛検査では1/100 といった流産などのリスクが存在します。NIPTはお母さんの腕からの採血で検査ができるため、流産のリスクがなく安全な検査と言えます。

妊娠8週前後の早い時期から検査できる


母体血清マーカーやコンバインド検査といった従来の非確定的検査は、早くても妊娠11週以降でないと検査ができませんでした。NIPT(新型出生診断)は、妊娠8週前後から受けることが可能なため、赤ちゃんの状態を早く知ることができます。

検査精度の高さ

染色体検査の正確性を計る基準は2つあります。

出産後に陽性であった妊婦のうち検査が陽性であった確率「感度」、出産後に陰性であった人のうち検査で陰性だった人の確率「特異度」。これらの数値は大きいほど精度は高くなります。

21トリソミーに関しては、NIPT(出生診断)は感度99.9%、特異度99.90%とする検査精度ですから、赤ちゃんに染色体異常症の可能性があるかどうかをより正確に発見することができます。

NIPT(出生前診断)のデメリット

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費用が高い

NIPTを受ける機関にもよりますが、基本的には20万前後の費用がかかります。
クリニックによっては検査項目をおさえることや、検査会社を国内にすることで安めの値段を設定しているところもあるようですが、安価なクリニックでは検査精度に疑問がのこるところや、遺伝カウンセリングの体制が整っていないところも。

そもそも正しい検査結果が得られなければ受ける意味がありません。
検査項目を少なくすることで、赤ちゃんがその項目以外の染色体異常を持っていることが見逃されてしまうことも考えられます。人生に関わる大切な検査のため、多少の費用がかかるのはしょうがないともいえるでしょう。

NIPTを受けるクリニックによって当たりはずれがある

次の「NIPT(出生前診断)の結果について知っておきたいこと」の項目に書かせていただきましたが、NIPT検査自体は精度が高いとはいえ、クリニックの検査手法・検査機関によって当たり外れが大きいのが今の現状です。
実際にNIPTを受ける際には、そのクリニックの質をよく見極める必要があるといえるでしょう。

クリニック選びにお悩みの方はぜひこちらも御覧ください。
▶【東京版】2024年NIPTクリニックの比較ランキング(費用/アフターケア/検査精度)

NIPT(出生前診断)の結果について知っておきたいこと

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検査結果は「陰性」または「陽性」で判定されます。
ただし、検体(血液)に含まれる赤ちゃんのDNAの量が基準を満たさない場合や、服薬中のお薬のために検査ができないことがあります。この場合は「再採血」となります。

NIPT検査ではクリニックで採血したものを、検査機関に送り、戻ってきた結果をみて陽性や陰性、染色体異常で起こり得る障害の程度などを判断するという流れになっています。ところが…クリニックによって、使っている検査機関・検査手法は異なります。

ぜひ知っていただきたいのは、NIPTの検査精度は、検査機関や検査手法によって大きく異なるということです。

イルミナ社のVeriseq V2システムという検査手法を用いているNIPTクリニックは避けた方が賢明といえるでしょう。なぜなら、こちらの手法はオンラインでイルミナ社とつながり検査結果が出されるのですが、検査結果に対してイルミナ社には一切の質問ができず、なぜ陽性・陰性となったのか理由がわからないためです。

検査後のカウンセリングでも、結果を伝えられるだけで不安な方には再検査を促すのみという流れです。

こちらの手法は国内の大手NIPTクリニックで用いられていますが、受検者の方を思えば本来用いるべきではないでしょう。NIPT(出生前診断)が日本で始められてからまだ日が浅いため、クリニックによってNIPT(出生前診断)の質は玉石混合となってしまっています。NIPT(出生前診断)を受ける際には、クリニックを選ぶ際に細心の注意が必要だといえるでしょう。

国内でVeriseq V2システムを使用しているNIPTクリニック

検査手法NIPT(出生前診断)を行うクリニック名
Veriseq V2システムヒロクリニック、平石クリニック、日本遺伝子医学株式会社、東京衛生検査所

NIPTがスクリーニング検査ってどういう意味?

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赤ちゃんの異常を調べる出生前診断には、確定診断とスクリーニング検査(非確定検査)の2種類があります。

確定診断は精度がほぼ100%であり、これだけで確かな診断を行うことが可能です。一方、スクリーニング検査(非確定検査)とは異常が疑われるケースを選別する目的で実施するものであり、確かな診断を行うことはできません。

NIPTはスクリーニング検査(非確定検査)のため、陽性の結果がでたとしても、染色体異常があることが確定されたわけではありません。NIPTなどスクリーニング検査で陽性の結果になった場合は、確定診断を受ける必要があります。しかし、スクリーニング検査の結果で陽性だった場合にだけ実施するため、最初からリスクのある確定診断を行わずに済むことがメリットといえるでしょう。

確定診断として実施される羊水検査や絨毛検査は、母体に針を刺すなど、負担の大きい検査となり、稀に感染症が起きたり、流産や死産のリスクが上昇したりするというデメリットがあります。

それに対して、スクリーニング検査は簡単な手法で実施できるため、妊婦さんや赤ちゃんに対して負担がありません。NIPTや母体血清マーカー検査では採血、超音波検査ではエコーで済むため、確定診断のように流産のリスクもなく、安心して受けることができます。

NIPT(出生前診断)の費用

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NIPT(新型出生前診断)の費用は、日本国内では、21・18・13トリソミーのみの検査でも約9~24万円(税抜)程度と各検査機関によって大きく異なります。

一見安いと感じる料金設定でも、検査項目を増やしたり、カウンセリングを受けるのにオプションの料金がかかってしまい、結局は他のクリニックと変わらない…むしろ高くなってしまった!というようなケースもありますので、事前に料金体系を確認することが大切ですね。

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ライター 佐藤

そもそも出生前検査って何?

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「出生前検査」とは、お母さんのお腹にいる赤ちゃんが健康に育っているか、何らかの異常がみられるかどうかなどを調べる検査のことです。出産する前に行うことから出生前検査と言われています。

出生前診断には、確定検査スクリーニング検査(非確定検査)の2種類があります。

確定検査は精度がほぼ100%であり、これだけで確かな診断を行うことが可能です。
一方、スクリーニング検査(非確定検査)とは異常が疑われるケースを選別する目的で実施するものであり、確かな診断を行うことはできません。

確定診断では母体に針をさし、流産のリスクがあるため、侵襲検査と呼ばれており、スクリーニング検査では母体や赤ちゃんに負担がかからないため、非侵襲検査とも呼ばれています。

検査費用検査内容時期結果まで
非確定
検査
超音波検査
(エコー)
5000円超音波で
首の後ろのむくみ(NT)
を測定
妊娠11-13週頃当日
非確定
検査
クアトロ検査3万円母体の採血のみ妊娠15-17週2週間
非確定
検査
コンバインド検査5万円超音波検査
+血清マーカー検査
妊娠11-13週2週間
非確定
検査
NIPT
(出生前診断)
20万前後母体の採血のみ妊娠9ー15週1~2週間
確定
検査
羊水検査10~20万前後専用の注射針を穿刺し、
羊水を摂取
妊娠16ー18週約4週間
確定
検査
絨毛検査10~20万前後経腹法または経腟法で
絨毛細胞を摂取
妊娠11ー14週約2~3週間

出生前検査の目的


出生前検査はすべての妊婦さんが受ける妊婦健診とは違い、検査を希望する方が受けるもので、妊婦健診では見つからない病気がわかることもあります。

出生前検査は、赤ちゃんの病気を知るためだけに行うものではありません。
出生前検査によって赤ちゃんの状態を知ることは、ご夫婦やご家族がこれからどのように過ごしていくかを考え、決定する機会を持つことにつながります。

また、妊娠中から赤ちゃんの生まれつきの病気に関する理解を深めて、赤ちゃんに必要な治療や支援などの情報を得ることで、事前に準備することもできます。例えば、出産直後に赤ちゃんに専門的な治療やケアが必要なことがわかれば、それらが可能な医療機関で出産することができます。

出生前検査のそれぞれの特徴

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NIPTは出生前検査として、近年最も注目されている検査方法で、国内では2013年から導入されました。

従来の出生前検査とNIPTの大きな違いは、NIPTはお母さんから採血をするだけで、おなかの赤ちゃんの染色体異常を高い精度で判定を行えることです。

この検査は次世代シークエンサー技術が開発されたために可能となった検査であり、次世代シークエンサーを利用したなかで、もっとも成果を上げている検査がNIPTと言われています。(※シークエンサーとは遺伝子を検査解析する機械の名称)

お母さんの血液中に存在する胎児由来のDNAを調べ、赤ちゃんの染色体異常リスクの判定を行うことができます。NIPTによって調べられる染色体異常は、21トリソミ―(ダウン症候群)・18トリソミー(エドワーズ症候群)、そして13トリソミー(パトウ症候群)の3つで、それらは全ての染色体異常の7割を占めます。

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染色体疾患の内訳のグラフ


NIPT(出生前診断)は年々改良されており、現在では21・18・13トリソミーだけではなく、性染色体および1〜22番までの常染色体すべての染色体本数の異常リスクも高い精度で判定が可能とされています。また、微小欠失症候群、部分欠失部分重複などの染色体の一部に異常があるケースも報告できるようになりました。

また、染色体の一部が多いケース(重複)、少ないケース(欠失)も同様に、高い精度により判定が可能とされています。

なお、NIPTは赤ちゃんの染色体疾患を確定診断するものでなく、非確定検査になるため、もしも陽性結果がでたら、確定検査へと進む必要がでてきます。NIPTの他にもどのような出生前診断があるのか、詳しくみていきましょう。

非確定的検査について詳しく

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非確定的検査とは、スクリーニング検査とも呼ばれています。この検査を受けただけでは診断が確定されないため、もしも陽性の結果がでたら確定検査に進む必要があります。NIPTも非確定検査になります。他には超音波検査やコンバインド検査があります。

非確定検査超音波検査
非確定検査母体血清マーカー検査
非確定検査コンバインド検査
非確定検査NIPT
確定検査絨毛検査
確定検査羊水検査


非確定検査のメリットとしては母体へのダメージが少なく、赤ちゃんを流産するなどのリスクがないことです。赤ちゃんに直接的な侵襲(ダメージ)もないことから、非侵襲検査ともいいます。

非確定的検査は染色体異常による疾患リスクの判定を行う検査です。陽性の結果が出た場合は、羊水検査や絨毛検査といった確定的検査が必要とされます。

なお羊水検査は妊娠15週以降に行われ、結果は2~3週間後に出るため、結果がでるまでに時間がかかると言えるでしょう。

超音波検査(エコー検査)とは

超音波検査(エコー検査)は、母体の腹部にゼリー状の潤滑剤を塗った上から機械をあて、お腹の中の胎児の成長や健康状態を画像で診断する検査です。一般的な妊婦検診でもすべての妊婦さんが行う検査となります。 

超音波検査(エコー検査)により、妊娠週数毎に胎児の成長や健康状態を確認することができます。また、胎児の首の後ろの厚さ(NT)や胎児の発育状態から胎児の疾患が指摘される場合も少なくありません。3D・4D超音波検査においては、心臓疾患・口蓋裂・口唇裂・多指症・腎疾患など、さまざまな疾患を検出することが可能とされています。

超音波検査(エコー検査)は妊娠初期から後期まで行うことが可能です。しかし、超音波検査(エコー検査)は画像診断のため、胎児の形態異常の診断を行うことはできても、染色体異常の診断を行うことはできません。

おなかの赤ちゃんの健康状態をより詳しく調べるには、超音波検査(エコー検査)による「目でみての確認に加えて、NIPT(出生前診断)による「染色体のスクリーニング検査」も行うと万全ですね。日本ではNIPTはまだ広まり始めたばかりですが、アメリカでは多くの妊婦さんが受けているようですよ。

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母体血清マーカー検査とは

妊娠15週0日から21週6日まで検査をすることが可能です。クアトロテストの結果を見てから羊水検査を受ける場合があるため、17週頃までに受けることが望ましいでしょう。 妊婦さんから少量の血液を採取し、血液中の4つの成分 (AFP、hCG、uE3、Inhibin A) を測定します。 これらは妊娠中に赤ちゃんまたは胎盤で作られる成分です。この4つの成分の値と妊婦さんの年齢、妊娠週数、体重、家族歴、インスリン依存性糖尿病の有無、日本人の基準値を用いて、妊婦さん一人ひとりの確率を算出します。

採血から検査結果を受け取るまでの日数は10日~2週間程度で、料金は2~3万円ほどです。クアトロ検査と呼ばれることもあります。

2012年には、当時36歳のプロゴルファーの東尾理子さんがこの検査の1つ「クアトロテスト」を受けたことが報道されましたが、検査を受けられるようになる妊娠週数も遅く時間がかかるため、今では出生前診断としてこちらを選ぶ方は減ってきています。

メリットとしては母体へのリスクが少ないことと、NIPTよりは安価になりますが、検査精度が80%前後と低く今後は廃れていくのではないでしょうか。

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コンバインド検査とは


コンバインド検査は、妊娠初期に首の後ろのむくみ(NT)の計測とともに行われる胎児染色体異常のスクリーニング検査です。超音波検査も同時に行うので、胎児自身にエコー上の異常がないかもあわせて確認します。

妊娠11-13週に検査を行います。エコーで計測する首の後ろのむくみ(NT)と、採血で測定する胎盤から産生される2種類のホルモン値(hCG, PAPP-A)とを組み合わせ、胎児の染色体異常のリスクを算出します。

赤ちゃんの21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)の確率が分かります。NIPT(出生前診断)による検査が行われるまでは広く行われてきましたが、クアトロテストと同様、精度の低さに問題があること、また、NIPT(出生前診断)でコンバインド検査の領域をカバーできることなどから、近年では世界中でNIPT(新型出生前診断)への移行が進んでいます。

NIPTとは

NIPT(出生前診断)は、出生前スクリーニング検査のひとつです。母体から採血した血液中に浮遊しているDNAの断片を測定することにより、おなかの赤ちゃんの染色体異常の可能性を調べます。

NIPT(出生前診断)はクリニックにもよりますが、妊娠8週前後から調べられます。クリニックによっては早期検査をうたっているところもありますが、あまりにも早期の検査は精度の面で注意が必要です。21トリソミー(ダウン症候群)への感度・特異度ともに99.9%と高精度な検査とされています。NIPT(出生前診断)は、あくまでも非確定的検査のため、確定診断を希望する場合は羊水検査などの確定的検査が必要とされます。

確定検査について詳しく

確定検査は、お腹の赤ちゃんの病気の確定診断をするための検査です。 ダウン症など、染色体の変化による病気の場合は、羊水検査がこれに相当しますが、侵襲的でリスクを伴う検査でもあります。

羊水検査とは

羊水検査は出生前診断の一つで、ほぼ100%の精度で赤ちゃんの先天異常を診断することができる確定検査です。

母体の子宮から少量の羊水を採取して調べることで、胎児の染色体異常や遺伝子疾患が見られるかどうかを診断します。

NIPTを受けた後の確定診断としても受けられることも多いですが、低確率ながら流産リスクもあるため、詳細を把握し、納得してから受ける必要がある検査ともいえます。

妊娠15~16週以降に受けることができます。羊水検査の費用は実施する医療機関によりますが、全額自己負担の自費診療で6万〜20万円程度です。羊水検査に入院が必要な場合には費用が高くなる傾向があります。

絨毛検査とは

絨毛検査は、妊娠11週-13週(14-17週も可能)に受けられる、染色体異常の遺伝学的な検査です。経腹ダブルニードル法でママのお腹から絨毛を採取します。

胎児由来の細胞が含まれている絨毛組織を採取し、胎児のDNAを抽出して検査を行います。

妊娠早期に行うことができるのですが、胎盤由来の細胞であり、完全に胎児由来の細胞でないため、現在ではあまり行われることのない検査とされています。

NIPT(出生前診断)でわかること

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NIPT(新型出生前診断)で分かる疾患や項目は、施設によって異なります。

日本医学会が認証するNIPT実施施設では、21トリソミー(ダウン症候群)・18トリソミー(エドワーズ症候群)・13トリソミー(パトウ症候群)のみですが、非認可施設ではクリニックによっては、全染色体の異数性や全常染色体全領域部分欠失疾患、微小欠失症候群など多項目にわたって調べることができます。

  • 21トリソミー(ダウン症)
  • 18トリソミー(エドワーズ症候群)
  • 13トリソミー(パトウ症候群)
  • 全染色体の異数性
    • 常染色体(1番~22番染色体)の異数性
    • 性染色体の異数体の判定
  • 性別判定
  • 全常染色体全領域部分欠失疾患
  • 微小欠失症候群

全染色体の異数性

染色体が3本となるトリソミーだけでなくモノソミーなど他の数についても、染色体の異数性(数の異常)を調べます。

常染色体(1番~22番染色体)の異数性

21番染色体、18番染色体、13番染色体、だけでなく1番~22番全ての染色体について、異数性(数の異常)を調べられます。トリソミーだけでなくモノソミーも検査可能です。常染色体異常は、それぞれ特徴的症状を持ちますが、一方成長と発達の遅れ、さまざまな疾患や合併症を持ちやすいことなどは常染色体異常症としての共通点といえます。

全染色体の異数性の検査でわかるおもな疾患

  • 21トリソミー(ダウン症候群)
  • 18トリソミー(エドワーズ症候群)
  • 13トリソミー(パトウ症候群)

性染色体の異数体の判定

性染色体(X染色体とY染色体)の異数性(数の異常)については、X染色体が一つのみのモノソミーのターナー症候群や、X染色体が多いトリソミーのクラインフェルター症候群などの異常を検査できます。常染色体異常ほど重篤な疾患や合併症を有するケースは少なく、通常の学校生活や社会生活を送っている人も多くみられます。

性染色体の異数体の検査でわかるおもな疾患

・ターナー症候群
・トリプルX症候群
・クラインフェルター症候群
・XYY症候群(ヤコブ症候群)

性別判定

お腹の赤ちゃんの性別を調べられます。
双子の場合はY染色体があるかどうかの判定となりますので、男の子がいるか調べることができます。

全常染色体全領域部分欠失・重複疾患

モノソミーやトリソミーのような染色体の数の異常ではなく、染色体の一部が重複していたり、欠けていたりする異常について調べることができます。

欠失や重複は、その部分に存在している遺伝子がどのような働きを持っているかによって様々な症状が見られます。例えば、ある種の酵素を作り出す遺伝子を含む染色体が欠損した場合は酵素の欠損症が見られ、骨の形成を司る遺伝子を含む染色体が重複した場合は骨形成の異常が認められます。

全常染色体全領域部分欠失・重複疾患の検査でわかるおもな疾患

・ディジョージ症候群
・アンジェルマン症候群
・プラダ―・ウィリー症候群
・猫鳴き症候群(5p欠失症候群)
・1p36症候群
・ウルフ・ヒルシュホーン症候群(4p欠失症候群)

NIPT(出生前診断)でわからないこと

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出生児の3.0~5.0%は、何らかの先天的な症状や疾患を持って生まれるとされます。

生まれつき胎児の体や機能に異常が見られる原因としては、染色体疾患の他にも、単一遺伝子疾患、多因子遺伝性疾患、環境・催奇形因子があげられます。また、原因不明の場合も存在します。

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先天異常の原因 Thompson&Thompson Genetics in Medicine第8版より改変


NIPTや絨毛・羊水検査でわかるのは、染色体による疾患だけです。
染色体異常によらない先天性疾患 (口唇口蓋裂、心室または心房中隔欠損症、梅毒や風疹、ヘルペスウイルス等による先天感染など)はNIPTでは調べられないため、NIPTや絨毛・羊水検査の結果が正常であったとしても、先天性疾患がないとは言い切れません。

また発達障害や視覚障害、聴覚障害については現時点での技術では、NIPTで確認するのは難しいと言われています。

NIPT(出生前診断)の原理

NIPTでは、お母さんの血液の中に含まれている、赤ちゃん由来のDNAを調べることで染色体異常や先天性疾患のリスクを評価します。こちらではどのような原理でDNAを調べているのかについてご説明します。


▼流れ
1. お母さんの血液を採取し、DNAを抽出(DNA Extraction)
2.次世代シーケンシングの最初のステップとして、「ライブラリー調製(Library preparation)」をします
 (※DNAを調べるため、核酸を切り離して、アダプターと結合すること)
3.次世代シーケンサーの遺伝子検査機械で、遺伝子の領域ごとの量を解析し、
 遺伝子異常の可能性を調べます(Sequencing) 


遺伝子(DNA)は染色体内にあり、染色体(Chromosome)は細胞(Cell)の核にあります。 1本の染色体には数百から数千の遺伝子が含まれています。 人間のすべての正常な細胞には23対(計46本)の染色体が入っています。

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細胞と染色体、遺伝子の説明図


DNAと遺伝子の違いについては、DNAが物質そのものであるのに対し、遺伝子はDNAに記載されている情報を指すという違いがあります。

DNA(デオキシリボ核酸)とは、A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)の4種類の塩基で構成され、細胞内では2本のDNAが向き合ったらせん状の形をとっています。

各遺伝子の長さは50-200bpとされています。
※bpはA,G,T,Cの塩基配列数の単位です。

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0から学ぶNIPT15

次世代シークエンサーとよばれる遺伝子を解析する機械で調べます。
ヒト遺伝子のどの位置から得られたものかをコンピユータで解析します。

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0から学ぶNIPT15

遺伝子のそれぞれの領域ごとに存在する塩基配列の数を測定、補正して
遺伝子の量の分布を計測します。


※塩基配列とは?・・・DNA(デオキシリボ核酸)は、4種類の物質が長く連なってできています。この物質の並び順は、それぞれを構成する塩基の頭文字A、T、G、Cで表した「文字列」で表すことができます。この文字列のことを「塩基配列」といいます。

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上の図は胎児のDNAが10%分、母体の血液に含まれていたと仮定したときの図です。

全常染色体全領域部分欠失疾患があった場合には、その領域の胎児分の遺伝子が減少します。
(※1,4,5,15,22)
トリソミーが検出される場合には1.5倍の遺伝子が増えるために5%のDNAの増加が検出されます。
(※13,18,21)
しかし、モザイク現象もこの結果に影響を与えるために、結果の判定には経験が必要です。

モザイクとは、同一個体内で細胞によって染色体の構成が異なる現象のことを言い、これによって遺伝子の発現が細胞ごとに異なり、さまざまな疾患のリスクが生じる可能性があります。

モザイクは受精後に起こる現象であり、全ての細胞に染色体異常があるケースは、通常は卵子の発育異常によるもので、受精前から存在します。この点がモザイクと完全型の異常の大きな違いです。モザイクは両親の年齢に依存せず、どの年齢層でも発生することがあります。

よくある質問

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 Q1.NIPT検査で何がわかるの?

お母さんから採血した血液から胎児のダウン症候群、18番染色体トリソミー(エドワーズ症候群)、13番染色体トリソミー(パトウ症候群)などの染色体異常を調べることができます。

クリニックによりますが、すべての染色体の数を検出し、部分的な欠損・重複も調べることが可能です。

 Q2.NIPTで陰性なら安心できますか?

NIPT検査の精度は非常に高いですが、偽陰性・判定不能といった結果も稀にみられます。
また国内のNIPTクリニックの検査の質はさまざまですので、NIPTを受けるクリニックを精査する必要があるといえるでしょう。

NIPTは染色体異常による疾患リスクの判定を行う非確定検査です。確定診断のためには羊水検査や絨毛検査といった確定的検査が必要とされます。NIPTで陰性だったとしても、検査項目以外の染色体異常の可能性や、染色体異常によらない疾患をかかえている場合もあります。NIPTを含む出生前診断を受ける際には、判断に悩む結果が出る可能性があることを理解しておくことが重要です。

 Q3.NIPT検査はいくらくらいしますか?

NIPTを受ける機関にもよりますが、基本的には20万前後の費用がかかります。
クリニックによっては検査項目をおさえることや、検査会社を国内にすることで安めの値段を設定しているところもあるようですが、そもそも正しい検査結果が得られなければ受ける意味がありません。

検査項目を少なくすることで、赤ちゃんがその項目以外の染色体異常を持っていることが見逃されてしまうことも考えられます。人生に関わる大切な検査のため、多少の費用がかかるのはしょうがないともいえるでしょう。

 Q4.検査は妊娠何週目まで受けられますか?

NIPTは非確定検査のため、陽性が出た際に確定検査の羊水検査にすすむことを考えると、早めが望ましいでしょう。ただ何週目までに受けなければならないという制限はありません。日本の法律では中絶は23週までと定められています。

NIPTが受けられるのは妊娠8週前後から。早期検査をうたっているクリニックもありますが、検査精度を考えると、どのクリニックで受けるにしろ8週以降の早めの週数が好ましいです。

0から学ぶNIPT・遺伝子検査とは?のまとめ

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こちらの記事では、NIPTについてどこよりも詳しくご説明させていただきました。NIPT検査をご検討の方も、事前に読んでいただくことでNIPTの全容がわかるような内容になっているかと思います。

NIPT受診を検討される方が出産をするにあたり、やはり第一に考えるのが「失敗したくない」ということですよね。初めての妊娠ならもちろん、何度経験しても不安や悩みが尽きないのが出産に関わることです。

そして「失敗しないためのコツ」というのは確かに存在します。

それは
知ること
計画を立てること
不安をなくすこと

の3つのポイントをしっかりと抑えることです。

具体的にいうと、知識がないとNIPTクリニック選びに失敗したり、
偽陰性などの結果がでて後悔につながる可能性がある

計画をきちんと立てられると見通しが立って安心感を得られる

不安が残っていると「わからない」が解消されずストレスが続くということになります。

この3つが抑えるべき大切なポイントなのです。
「知る・計画・不安をなくす」の3つさえしっかり出来ていれば、妊娠出産を格段により良いものに出来ます◎

最後までお読みいただきありがとうございます。
NIPTの全容を分かりやすくお伝えできましたでしょうか。

実際にNIPTを受けるとしたらどこのクリニックを選べばいいの?とお悩みの方もいらっしゃると思います。そちらについても別記事でまとめておりますのでぜひ続けてご覧くださいませ。

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ライター 佐藤

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